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鈍い体の痛みに目を覚した。
冷たく硬いアスファルトの上に投げ落とされたようで、キシキシと打ち付けた体の節々が痛んだ。
辺りに視線を配ると先程の男子生徒達がいた。
すぐさま起き上がろうとするけれど、殴られた頭がズキズキと痛んでふらつく。思わず痛む頭に手をやるとべトリとした感触に手が震えた。
この感触、知ってる。
夢だと思いたかった現実。ただの悪夢だったらどんなに良かっただろうか。それでも、あの日は現実でしかなくて。あの血生臭い感触がまた、私の手のひらにある。
脳裏を過ぎるあの日の出来事に、震えが止まらなかった。
そんな私を見て誰かが笑った。
「玲莱の左腕の傷」
突然、誰かがそんなことを言った。
……傷?なんで急に……?
「知らないわけねぇよな?」
「っ」
胸ぐらを掴まれて無理矢理立たされる。首辺りが少し詰まって息苦しい。思い切り踏み込んでしまった足首に激しい痛みが走る。ふらふらする頭のせいでまた意識が飛びそうだった。
「昔お前が男使って玲莱を襲わせたんだろ!その時の傷だってあいつ泣いてたんだぞっ!!」
ドンッと思い切り突き飛ばされる。ふらつく足で踏ん張れなくて思い切りアスファルトへと叩きつけられた。さっきから痛くて痛くて声も出ない。
……襲わせたって何の話……?あの傷は玲莱が子供の頃公園で遊んでいた時にジャングルジムから落ちて、その時できた傷のはず。
「玲莱の受けた痛みと恐怖、お前に全部返してやるよ」
だから、何の話……?
「自業自得、だよな?」
ニヤリと男子生徒達が笑う。その姿が酷く恐ろしくて震えが止まらなかった。
「や、……いやっ」
怖くて思わず走り出そうと立ち上がる、挫いた足と殴られた頭のせいでふらふらだった私はいとも簡単に捕まってしまう。
力任せに掴まれる腕がキシリと痛む。生理的にか、恐怖からなのか目に涙が溜まってしまう。滲む視界に遮られ男子生徒達の表情が見えなかったことが幸か不幸か、もうわからなかった。
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