46人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてまた、懲りることなくそのガラス片を手に取った。先程とは違い血で滑りを感じる。それをそのまま、左手首に突き立てた。
突き立てたそこから血が滲んでいく。
死んで、しまいたい。
楽になりたい。
あの日生かされた意味を、私はもう探せない。
もう、苦しいんだ。
これが例え私の罪になろうとも。
今を、逃げ出したいんだ。
「いっ……!っ……」
突き立てたそれを思いっ切り引き裂いてしまえば、痛みとともに心の何処かがスッキリと軽くなった気がした。
右手からガラス片が落ちる。それと同時に力が抜けたように座り込んでしまった。
流れ出る血液をただただ、じっと見つめる。
自分の汚れきった部分が洗い流されていくように感じた。
それでもやっぱり何処か虚しくて。
また、自然と笑みが溢れた。
頭が、ぼーっとする。痛みも最早なかった。
そのまま私は地面へ寝転ぶ。見上げる星空が徐々にぼやけて、霞んで。
そして、瞼を閉じた。
最初のコメントを投稿しよう!