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『今日は、えまもいっしょにごはん作るー!!』
『あら、じゃあパパとっても喜ぶわね』
……お母さん。
『パパー!みてみてー!今日はね、えまがこれ作ったんだよ!』
『おぉ!美味しそうだ。瑛茉、ありがとう』
……お父さん。
私の、大切な人。
『えま!おままごとしよ!』
『うん!いいよっ。じゃあ、えまお母さん役やる!』
『えー!!れいらがお母さん役やるの!えまはれいらの子どもなのっ』
『えー、じゃああとで交代しようねっ』
『うん!そうしよっ』
……玲莱。この時は、楽しかった。玲莱のこと、大好きだった。
『……おかあさん……?おとう、さん……?』
あ、嫌だ。
『……ねぇ、どうしたの……?おきて……っ』
やめて。
血生臭さがいやに現実で。ベットリとした感触がとてつもなく怖くて。
何よりも、私を庇うように覆い被さった父と母の瞼が閉じられていて。ピクリとも動かない二人が、いつものように大丈夫だと答えてくれない二人が、とても怖くて。
一番、思い出したくない瞬間。
……会いたいよ。二人に。大切で大好きな私の両親。私の生命を守ろうとした二人の意思を、私は裏切ってしまったのだろうか。
私は、最低だな。
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