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「エマ様、もうそろそろ涙を拭いてしまわないと、本当に朝食に遅れてしまいます」
シンシアが穏やかに私をそう諭す。
抱き締めていた手を緩めてシンシアの顔を改めて見つめ直す。
帰ってきた。本当に戻ってきたんだ。この場所に、あの日々に。
私の大好きなシンシア。
私が、守れなかった人。
もう絶対に、後悔なんてしない。
「大好きよ、シンシア」
シンシアの胸にもう一度抱きつきそう言った私に、シンシアが微笑んだのを感じた。
「私もですよ。エマ様」
ぎゅっと私を抱き締め頭を撫でるシンシアのその手の温度が、泣きたいくらい嬉しかった。
「さぁ、朝食へ行く準備をしましょう」
優しい笑顔を見せるシンシアに、私も笑みを返した。
もう二度と、後悔しないために。
私は私の運命と向き合う。
決めたのだから。絶対に、守りきってみせる。
私の大切な人達を。
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