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あの保険医に話したところで私の話の全てを信じてくれる訳じゃない。あの子のこと、誰も疑ったりしない。今までずっとそうだった。
きっと、ただのすれ違いだと思われて終わる。
言えるわけ、ないんだ。最初から理解してもらえないとわかっていて話せるほど、私はもう強くない。
そんな勇気、もうとっくの昔に折られてしまった。
何気なく右腕に巻かれた包帯を見る。
こんな擦り傷、数日で治る。けれど、私のこの心の痛みはいつになったら消え去ってくれるのだろうか。
酷く、憂鬱だ。何もかも、あの日から。
辛くて辛くて、しょうがないんだ。
助けてほしい私を。
もう自分じゃ、どうにもできない。
ゆっくりと立ち上がり、私はそのまま保健室を出た。
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