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「……へ?」
唐突な言葉に私は戸惑い、もう一度彼らの顔を見回した。
これは夢だ。夢に違いない。
そんな考えを否定するかのように、短髪の男性がこう言った。
「夢じゃないよ。君は一年後の今日死ぬ事になってる」
突然そんな事を言われても、実感なんて沸くはずない。
確かに自分にも世界にも失望はしているが、いきなり余命一年と言われて「はい、分かりました」なんて言えるわけがない。
「あの、死因とかは……」
「それは言えません。対象者に死因は伝えない。それが私達死神の掟ですから」
自らを死神と名乗る彼らに、ますます私は困惑する。
そもそも何故私は一年後に死ぬのだろうか。
身体は至って健康だが、突然不治の病でも見つかるのか。
あるいは交通事故にでも遭って、不運に命を落とすのだろうか。
それとも……と、もう一つの可能性を考え、それもありえるかもしれないと思った。
「確かに伝えたからな、岡野美咲」
「また一年後に会おうね」
「じゃあね、バイバイ」
言うだけ言って、彼らはスッと消えてしまった。
一人残された私は開いた口がふさがらず、星を見上げながら呆然とする。
死因は不明だが、私の余命はあと一年らしい。
しかしこの時の私は、仕事疲れから奇妙な幻を見たのだろうと結論付けてそのまま眠ってしまった。
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