母からの手紙

つくば万博

母が疲れたので休みたいと言い出した。
すぐ目の前には休憩スペースがあり、腰を下ろす椅子が見える。
小さなテーブルもあって、軽い飲食ができるようだ。

その横に、企画ブースがあった。
珍しく母が興味を持ったようで、係りの人から説明を受けてる。
母と離れて近づいてきた父が言う。

「美沙、お父さんと一緒にパビリオンを見て回ろうか」

「お母さんは？」

「何か手渡されてたな、なんだろうね？」

すでに母は椅子に座り、係の人から受け取った紙とボールペンをテーブルの上に置いてた。
やっぱり人混みは苦手みたいで、顔色が悪い。
歩き疲れて休憩したいから、私と会場を見て回るよう父に言ってたようだ。

母は青白い顔を見せながら手を振っている。
いってらっしゃいという意味なのだろう。