結婚式の朝

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結婚式の朝

時は21世紀。 つくば万博が終了してから16年、時代は昭和から平成に変わってる。 大学を卒業して社会人を経験した私は、本日、結婚式を控えてる。 朝から慌ただしく準備に追われ、父も何だかソワソワして落ち着かない。 今も仏壇に置かれた母の遺影に手を合わせ、線香に火を付けている。 「ちょっと、お父さんいい加減にしてくれない!部屋中が煙だらけよ!」 「いいだろ少しくらい・・・・・・」 「少しじゃないわよ、慰撫(いぶ)されて薫製(くんせい)になってしまうわ」 私の言葉を聞いて、父が笑顔を見せた。 「その適当な感じ、死んだ母さんにそっくりだな」 「えっ、似てるのかしら?」 「まあな、仕草や喋り方、頑固で適当、若い頃のアイツそのままだ・・・・・・」 父は母の遺影を見ながら懐かしそうに話してる。
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