23人が本棚に入れています
本棚に追加
「まあ、これでも一人娘ですから」
「威張って言う感じ、やっぱり親子だな」
私と父は遺影の前で笑いあった。
でも写真の母はムスッとして笑顔はない。
普段からクールで澄まし顔だから。
温厚な父と一緒に生活していたので、家では言い争いや喧嘩もなく穏やか。
私はすっかりおとなしくなって、優しい女性と言われるようになっていた。
素敵な婚約者に恵まれ、今日を迎えてる。
「美容室を予約してたんじゃないのか?」
「あっ、もうこんな時間!お父さんのせいよっ!」
「母さんと話してるみたいで楽しいな」
都合の悪い事は近所の奥さんのせいにしてた母、その面影を私に重ねてる。
父に頼んで車を出してもらい、美容室まで送ってもらう。
終わる時間まで暇なので、式場を下見してくると車を走らせた。
家に帰っても落ち着かないらしく、何かしてたほうが気が紛れるらしい。
最初のコメントを投稿しよう!