結婚式の朝

2/6
前へ
/20ページ
次へ
「まあ、これでも一人娘ですから」 「威張って言う感じ、やっぱり親子だな」 私と父は遺影の前で笑いあった。 でも写真の母はムスッとして笑顔はない。 普段からクールで澄まし顔だから。 温厚な父と一緒に生活していたので、家では言い争いや喧嘩もなく穏やか。 私はすっかりおとなしくなって、優しい女性と言われるようになっていた。 素敵な婚約者に恵まれ、今日を迎えてる。 「美容室を予約してたんじゃないのか?」 「あっ、もうこんな時間!お父さんのせいよっ!」 「母さんと話してるみたいで楽しいな」 都合の悪い事は近所の奥さんのせいにしてた母、その面影を私に重ねてる。 父に頼んで車を出してもらい、美容室まで送ってもらう。 終わる時間まで暇なので、式場を下見してくると車を走らせた。 家に帰っても落ち着かないらしく、何かしてたほうが気が紛れるらしい。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加