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「お父さん、先に見てよ」
「美沙が始めに読めばいいだろ」
言い争ってもしかたないので、同時に開封して読み始める事に決めた。
透明の袋から出した封筒を開いて、中から手紙を取り出す。
そこには、懐かしい母の字で未来の私に向けたメッセージが書かれてた。
万博会場の休憩所で、この手紙を書いてます
あなたとお父さんは、いつも元気でいいわね
お母さんも、こんな体じゃなかったら、たくさん遊べたのに
十年先も生きてるかな、お母さん
あなたの花嫁姿を見る前に、死ぬのは嫌だよ
苦しくても絶対に長生きして、美沙の子供を抱きかかえるんだ
その時は無理してでも、笑顔で家族写真を撮りたいな
今のお母さんと美沙は、いつも喧嘩ばかり
手紙が届く16年後の美沙は、もう立派な大人だから大丈夫だよね
頑固で適当人間のお母さんに、優しくしてね
この手紙を読む頃は26歳ぐらいかな、結婚はしてるの
病弱なお母さんはほっといて、旦那さまと仲良くやってね
もし、お母さんが死んでこの世にいなくても、悲しまないで
顔を上げ、空を見てごらん
お母さんはいつも、空から美砂のこと応援してるからね
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