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過去
「どうして?そうねぇ…。いけない事なのよ?接触禁止だし、でも…彼女は暫く刑に服すし、会いたくても会えないでしょ?手紙の内容もあなたが嫌なら行かなければ良い事だからね。私も子供を持つ親だったから…。」
当時、僕は6歳で妹は1歳。
父親はいなくて夜に働く母と3人でアパートに住んでいた。
間も無く、父親と名乗る人が一緒に暮らし出すと、僕達は外へ出される事が増えた。
お腹が空いても家には入れない。
小さな泣く妹を抱えて、途方にくれる僕に声を掛けてくれたのは隣に住む、その頃、30過ぎのおばさんだったと思う。
妹に暖かい白湯をくれ、僕にジャムパンをくれた。
「今度は牛乳買っておくわね?私、嫌いなの。」
そう言って笑った。
一週間後、追い出された僕をドアをそっと開けて手招きした。
暖かい部屋で、暖かい牛乳を妹に飲ませてくれた。
僕にも牛乳が出て来て、おにぎりが出て来た。
「あら?牛乳におにぎりは合わないわね?」
僕は思いっきり首を振った。
おにぎりも温かくて優しい味がした。
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