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ある日学校から帰ると妹が動かない。
母も…父と名乗る人も居なくて、妹だけが布団の上に寝ていた。
おばちゃんに妹を見せに行くと、救急車を呼んでくれて、僕は妹に付き添って病院に行った。
妹は栄養失調で、殴られた痕があるからと警察が来て、父親という人が連れて行かれた。
母親も連れて行かれたけどすぐに帰って来た。
そして母のお母さんという人が来て、退院する日、妹を連れて行ってしまった。
その人は僕におばあちゃんだと名乗り、僕を抱きしめて言った。
「拓人も引き取りたかったけどね、母親は何もしてないからって…信じたいの。それに赤ん坊は夜に働くあの子には面倒見るのは大変だからね。お母さん、また一人で頑張ると言うから、拓人、お母さんをよろしくね?」
僕は初めて会うおばあちゃんに妹をよろしくお願いしますと、頭を下げた。
おばあちゃんは傷付けない、お腹いっぱい食べさせて大きくして、いつか会いに来てねと約束してくれた。
安心出来た。
暫くは母と二人、静かで穏やかだった。
母は何も言わないけど、何もしない。
僕は変わらずお腹を空かせて、時々、隣のおばちゃんの部屋に行く。
そしてあの男がまたうちに住み出した。
物を投げるのは変わらないけど、直接、殴る事はしなくなった。
けど…学校に行けず、閉じ込められて、二人が食事を食べていても僕には何ももらえなかった。
お腹が空いても外に出れないから、お隣のおばちゃんの部屋にも行けなかった。
どれ位続いたのか……二人の目を盗んで水を飲む事に必死になっていた。
ある日、二人が出掛けて、僕は動く事も出来ず、水を飲みたくて必死に体を引きずった。
玄関のドアが強い風で少し空いた。
二人が鍵を閉め忘れたのだと思うと、今しか外に出られない……おばちゃんに会いたいと思った。
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