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「忠岡さん、心理係ってそんなに暇なんですか?」
「あー今、心理係を馬鹿にしたなー?」
「してませんよ。ただの皮肉です」
「心理係はねー、文書鑑定科の一部門に籍を置いてるけどー、その実は犯罪心理学を研究する最先端の科学機関なんだよー? 有名な『プロファイリング』捜査とかー、犯人の虚言を暴く『ウソ発見器』ことポリグラフ検査だってー、心理係の仕事なんだからねー?」
「はいはい、知っていますって」
耳にタコが出来そうだ。
ラノベみたいに語尾を伸ばしたキンキン声で喋るものだから、余計に辟易する。
捜査一課は数々の殺人事件で、科捜研と連携を取って来た。
科捜研の部署は全部で九つある。死体検分する法医科、物的証拠を調べる物理科、毒物や化学物質を扱う化学科などの他、筆跡鑑定や心理分析を担う文書鑑定科もその一つだ。
そこで、彼女と知り合ったのだ。
ここまで一方的に親しまれるとは思いもしなかったが。
同じ『忠』の字を持つだけで胸襟を開かれても正直、困る。
「ねーねー忠志くん、実はさー、冷やかしついでに聞きたいことがあるんだけどー」
「は? 用があるなら最初に言って下さいよ、全く……」
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