108人が本棚に入れています
本棚に追加
「この冤罪を引っくり返すにはー、第三の視点で捜査した一課の協力が必要なのよー」
「俺に押し付けないで下さいよ……」
忠岡の瞳には炎が宿っていた。
熱い闘志が燃え盛る。あいにく見た目が小汚いせいで、真剣味に欠けてはいたが。
(恩人の不名誉を、払拭したいわけか……)
徳憲は、忠岡の義侠心にほんのちょっぴりだけ感嘆した。
――とはいえ、現状は何も出来ない。新たに孤児院から押収した物品は鑑識へ回されている。そこで手に余るようだったら、初めて科捜研にお鉢が回るのだ。
「俺たち一課が集めた品は、いずれ科捜研にも届くでしょう。そのときご自分で調べたらどうですか? 行き渡らないのは指紋くらいでしょう」
「あー、指紋は鑑識課の専売特許だもんねー」
「はい。そう言えば、二課に同行していた指紋係の偉い人が居たな」
徳憲はふと思い出した。
偉い人――英川雄慈。
通称『指紋の英雄』と称される凄腕である。名は体を表す、とはよく言ったものだ。
「そいつも怪しーわね」
「は!?」
最初のコメントを投稿しよう!