第一幕.非解決役の破綻推理

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「この冤罪を引っくり返すにはー、第三の視点で捜査した一課の協力が必要なのよー」 「俺に押し付けないで下さいよ……」  忠岡の瞳には炎が宿っていた。  熱い闘志が燃え盛る。あいにく見た目が小汚いせいで、真剣味に欠けてはいたが。 (恩人の不名誉を、払拭したいわけか……)  徳憲は、忠岡の義侠心にほんのちょっぴりだけ感嘆した。  ――とはいえ、現状は何も出来ない。新たに孤児院から押収した物品は鑑識へ回されている。そこで手に余るようだったら、初めて科捜研にお鉢が回るのだ。 「俺たち一課が集めた品は、いずれ科捜研にも届くでしょう。そのときご自分で調べたらどうですか? 行き渡らないのは指紋くらいでしょう」 「あー、指紋は鑑識課の専売特許だもんねー」 「はい。そう言えば、二課に同行していた指紋係の偉い人が居たな」  徳憲はふと思い出した。  偉い人――英川雄慈。  通称『指紋の()()』と称される凄腕である。名は体を表す、とはよく言ったものだ。 「そいつも怪しーわね」 「は!?」
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