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「で、俺にもそれを見せてくれるんですか?」
「にひひー、そのとーり」
総合庁舎の門をくぐる忠岡が、いつになく楽しげだ。
あたかも自宅に彼氏を招き入れるような笑顔は、どうにも背中がこそばゆい。
「忠志くんさー、今日はもー報告書を作って終わりでしょー? ならウチに来て見学してもいーんじゃなーい?」
なんてことを言われたので、つい興味本位で付いて来てしまった。
この女が何をするつもりなのか徳憲も純粋に気になったし、せっかくだから科捜研を覗いておくのも悪くない。
「ささ、遠慮せず上がってー」
「あなたの家じゃあるまいし……」
「半分くらい家みたいなもんよー。あたし泊まり込み三日目だしー」
「何しているんですか一体……」
「研究に熱中しちゃうとー、時間が経つのも忘れるのよねー。おかげで化粧も身だしなみもボロボロー」
そのせいなのか。
外見が今いち薄汚い理由は、ズボラな性分の他に仕事熱心すぎることも一因のようだ。
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