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4.
最も早く鑑定を終えたのは、物理科の怯間と怖川だった。
恐怖バディとも称される異質な凸凹コンビは親友どうしということもあり、阿吽の呼吸で事件の裏側を明かしてのける。
「――――……」
誰よりも目立つ巨躯のくせに口数が少ない怖川は、捜査本部まで報告しに来たときでさえ無言だった。
過去に余計な口を叩かないと誓った彼は、いかつい強面もあいまって非常に話しかけづらい。相変わらずの頑固者だ。
「ええと……? よ、用件をどうぞ」
捜査本部の会議室に詰めていた徳憲は、恐る恐る問い返す。
怖川が黙って報告書を突き付けたので受け取ると、見計らったように彼の背後から怯間恐真が顔を出した。
「はッはッは! とくとその目に焼き付けるが良いぞ、捜査主任よッ! 我が右眼に宿りし千里眼にかかれば、この世のあらゆる物理現象をあッという間に解析できるのだッ!」
いちいち誇張した表現を好む伊達男だ。
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