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怖川とは何もかも正反対なモヤシ野郎だが、寡黙な怖川を補って余りある饒舌な性格は、双方を足して二で割ってちょうど良い。
徳憲は極端な両名に辟易しつつも、鑑定結果に目を通して唖然となった。
「なになに……ん? 『凶器が植木鉢だけではないことが判明した』ですって!?」
「ふッ! その通りだ! キリッ」
怖川が右手で顔を覆い隠し、足を交差させて謎のポーズを取った。
隣では怖川がしきりに首を縦に振り続けている。
「――――……」
「そ、そうですか」どうにも話しづらい徳憲。「物理科の機械係って、凶器の検査も業務に含まれていますよね。凶器が違うと、死因も変わるのでは?」
「さッさと報告書を読みたまえッ! 詳細は全て書面にあげつらッた! 貴様の読み進めるペースに合わせて適切な注釈や補足事項を口頭で添えてやろうッ!」
怯間が強く通読を推奨した。
しかし死因が変わるとなると、捜査の『ストーリー』にも影響が出る。下手したら一から練り直し、根本から考え直さなければならない。
やはり科捜研は油断できない――徳憲は神妙に目を通した。
「被害者の後頭部にあった打撲痕にまぎれて、刺し傷が新たに見付かった……ええっ!?」
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