第四幕.英雄の最終決戦

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 戦慄で息を詰まらせる徳憲に、今度は法医科の連中がドアを開けて近寄った。  フェロモンを振りまきながらモデル歩きする、愉本華恋である。 「あは~ん、徳憲クンまた会ったわね~! アタシ寂しかったのよ~」 「ちょっと愉本さん、出会い頭に抱き着かないで下さい。うっ、密着しないで、胸に圧迫されるっ……苦しいっ……」 「つれないわね~。せっかく報告書を持って来たのにな~?」 「法医科もですか……ああ、被害者(ガイシャ)の刺し傷についてですか?」 「そ~そ~。頭部の傷跡を検証したら、打撲痕の下に刺し傷があったの~。きっと計画殺人をごまかすために、衝動的な強盗殺人っぽく偽装工作したのね~」  存在しない強盗犯を想起させ、真犯人から注意をそらすための悪あがき。  しかし犯人は浅はかだった。その程度でごまかせるほど科学捜査は甘くない。死体を徹底的に調べ上げ、犯行の経緯も仔細に暴露される。 「さ~て、どこのどいつが凶器を所持してるのかな~? 英川才慥の自室から発見されるかしら? ついでに強盗の仕業に見せかけるために盗んだ金品も見付かるかも~?」  その可能性は俄然、高まった。  徳憲は精神的な圧迫感と、豊満な胸の圧力にさいなまれる。 (英川家の捜査令状を取って来い、ってことか……?)
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