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徳憲は嫌な予感がした。
最も警戒すべきは忠岡だったではないか。
悦地は誰よりも犯人逮捕に血道を上げていた。余計なことを吹き込まれていなければ良いのだが――。
*
捜査令状を用意した捜査一課は、才慥の自室を家宅捜査した。
次々と室内の備品がダンボール箱に詰め込まれる中、ついに凶器も発見された。
押し入れの奥に隠匿されていた大型ボウイナイフは、まさに化学科の洞察通りだ。さらには強盗に偽装すべく盗み出した金品も、同じ場所から発掘された。
刃物を法医科が検査すると、血痕がはっきりと浮かび上がった。返り血はどんなに拭き取っても痕跡がこびり付いている。それをルミノールという薬品で反応させたのだ。
間もなく才慥に逮捕状が発行されたのは言うまでもない。
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