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「もう良いんじゃ……儂はここに居る存在意義を失った……儂は負けたんじゃ……」
「で、でも――」
「来るな! 息子を逮捕したのは他でもない、おぬしなのじゃからな!」
「お、俺だって腑に落ちませんよ! でも状況的に……あれ以外に犯人の目星が立たなくて……行きずりの強盗犯は捜査線上に浮かばなかったんです」
徳憲はおのれの無力さを呪った。
容疑者は才慥しか挙げられなかった。
犯人候補が他に居ない以上、才慥を捕まえるしかなかったのだ。
――かくして、忠岡の復讐は叶った。
――憎き英川の外堀を埋め、警察から追放した。
ニューヒーロー・忠岡悲呂の前に、過去の遺物は敗退したのだ。
「それにですね……言いにくいんですが、才慥さんは罪を認めています。彼は本当に殺したんですよ」
「……もうええわい……真相など、どうでもええ……身内から犯罪者が出ると警察には居づらい……儂はもう消える……仕事に捧げた人生を終える……」
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