第四幕.英雄の最終決戦

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「心理学の『恋愛の類似性』でマンネリ化していた忤藤さんに目を付け、逆に『相補性』の魅力を持つ悦地さんと浮気するよう酒宴を開催したんでしょう? 営業の売り込みに加え、酒席で再会したことによる距離感の縮まり方も『ボッサードの法則』にぴったり当て嵌まります!」 「わー忠志くん偉ーい。あたしが教えた心理学知識、きちんと覚えてたんだー?」 「さらには『ロミオとジュリエット効果』で忤藤さんが恋に没頭するよう、浮気による背徳感も演出したんですね? 才慥さんは忤藤さんを責めるし、周囲も浮気は反対するでしょう。忤藤さんの恋路は障害だらけ、味方は悦地さんただ一人……まさに禁断の恋、ロミオとジュリエットだったわけです!」 「なァに言ってるのさァ?」肩をそびやかす悦地。「ボクは自分の意志で愬実さんを口説いただけだよォ? 何せボクはインキュバスだからねェ?」 「悦地さんの女癖の悪さも織り込み済みです。医療機器メーカーと科捜研の接待をセッティングした幹事は()()()()()()()、と話をしていたじゃないですか!」  そうだった。  以前、忠岡が幹事をしたと述べていた。  何もかも、悦地と忤藤が()()()()()()()()()()()()()()である。 「さーて、何のことやらー?」
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