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「!」
「領収書の金額に、あとから書き足されたインクの痕跡が見付かった。例えば120万円の『1』に線を追加すれば『4』や『7』になる。丸を加えれば『9』にもなる」
「確かに……」
「同様の手口で、数十枚もの領収書が改竄されていた。余罪もかなりの数に上るだろう」
そうやって経費を水増し請求した犯人は、余剰額を着服したと思われる。
「しかし、本来の『1』を書いたペンと、犯人が書き加えたペンは別モノだ。それぞれのペン先の筆跡とインクの成分を鑑定した結果――」
「その万年筆が該当した、と?」
徳憲が先んじて言い当てた。
管理官は無言で首肯する。
傍らに立ち尽くす忠岡が双肩を震わせた。
「この万年筆はー、アンティークな値打ちものなのよー」
「へぇ」
「これを持ってるのは院長しか居なかったしー、使ってるインクも通販で特注してるって聞いたことがあるわー」
そんな珍しいペン先とインクを使用したのは、院長しかあり得ない。
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