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「こんなの部分的に似てなくもない、ってゆー程度の話じゃーん。だったら経理の知念だって、近い数値を出してるわよー?」
忠岡は知念の筆圧データめがけて、デコピンするような仕草で紙を叩いた。
知念の数値解析は、院長ほどではないものの、曲線を書くときの筆圧――例えば0や6や9の丸み――が非常に近い値を表示している。
「一部に着目すればー、院長よりもよっぽど犯人視できる数値よー? どーして二課はこいつを野放しに出来たわけー?」
「そりゃあ、全体的には院長の方が怪しかったからじゃないですか? 筆圧だけでなく、万年筆という物証もありますし」
徳憲はそう返事するしかない。
彼は二課ではないので、これしか答えようがなかった。
ところが忠岡は打って変わって、にんまりと底意地悪そうな破顔をかたどったのだ。
したり顔である。
何か思い付いたのだろうか。それとも何か言質を取ったのか?
徳憲を言い負かしても何の得もないのに。
「知念はわざと、普段と違う筆圧で金額を改竄したのよー。それでも普段の癖は抜けきらないからー、ところどころに本人に近い数値が出ちゃってるのねー」
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