108人が本棚に入れています
本棚に追加
それだけに、二課がやらかした失態は辛い。彼らを反面教師にして、一層気を引き締めようと肝に銘じた。
「死体の状況は、二課が供述した通りだった……ゆえに事件性はないと判断し、捜査は終了した……っと」
忘れないうちに報告書の作成に取りかかる。
机上に置かれたノートパソコンで書式のテンプレートを開き、足下の扇風機を爪先で点けながら文章を入力した。
死亡した院長は警察病院へ収容され、近日中に遺族へ引き渡される手筈だ。きっと警視庁のお偉方が謝り倒すに違いない。記者会見も同時に開かれ、盛大に叩かれそうだ。
実にお粗末な顛末ではないか。
死者の遺留品などは念のため回収したが、遠からず遺族へ返却されるだろう。
一件落着だ。
一課がやることは、何もない――。
「徳憲くーん、居るー?」
――あった。
最初のコメントを投稿しよう!