タイムシフトでまた会おう

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この部屋に希望など存在しない。あるのは絶望だけだ。  そんなキャッチコピーをつけたくなるのは、目の前に映し出された薄闇の一室だ。そこには一目見ただけで不健康と分かってしまうほど血色の悪い男達がいる。彼らはパソコンのブルーライトに顔だけを照らされて、暗中に浮かぶ生首二つとして空中浮揚し続けている。  そんな()を30分近くも生配信し続けているため、観る人がみれば「心霊動画の生配信か!?」と、思わず生唾飲みこんでしまいそうな貴重映像としてリスナーには解釈されているようであった。  生首の背後では何かがブルーライト光で反射を繰り返しているのが分かる。それは、簡易な星形が全面に散りばめられた遮光カーテンで、星の一つ一つはウィンター・ブルーに瞬いて彼らの背後を纏っていた。  満天の星空のような背景とは相反して開口部を全て閉め切られているこの一室は、街灯と月灯りの差しこみを拒んでいるだけでなく、部外者の侵入までも「お断りだ」と暗に伝えているように見えた。
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