3年後のあなた

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「お前……! じゃあお前が僕に成り代わっていたというのか……!」 すると、本物の育哉が偽物の育哉に掴みかかった。 それを余裕な表情で眺める彼。 「成り代わり?心外だな。ずっと霞代は僕のことを《育哉》だと思ってたんだよ?事実なんてどうでもいい。霞代がそう思うなら、《育哉》は僕だ」 ───偽物は、君だよ。 そう言って嘲笑ったかと思うと、バシッと己の胸倉を掴む腕を叩き落とした。 それが相当強い力だったのか、数歩後ずさって躓き、地面に尻餅をついた彼。 その光景を見て、ようやく気付く。 ───私は、何か、とんでもないことをしてしまったのではないだろうか。 「でも本物も偽物もいらないね。《育哉(霞代の彼氏)》は僕だけでいい。───君、邪魔だから消えて?」 3年後のあなたが、恋人の皮を被った狂人だったなんて。
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