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3年前と驚くほど変わっていない目の前の《育哉》と、驚くほど変わっている右隣の《育哉》。
どちらを信じればいいかなんて、一目瞭然で。
焦ったように、握られた右手を彼の手から引き抜く。
案外簡単に抜けた彼の手。
《育哉》は先程まで私の手を掴んでいた己の左手を暫し見つめ、そして魂が抜けたような瞳を徐にこちらへ向けた。
瞬間、ドパッとあり得ないくらいの冷や汗が全身から吹き出る。
カタカタと歯を震わせながらも、やっとのことで口を開いた。
「あなた……誰?」
私の掠れるような声を聞いた彼の口元が、不自然にゆらりと弧を描く。
「あーあ、バレちゃった」
───その言葉を聞いて、私は耐え難いほどの頭痛を覚えた。
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