祖母からのテガミ

家族そろって東京から、 北海道の札幌に住んでいる 祖母の家に 行くことになった。 わたしが最後に祖母と会ったのは二十歳のとき。 現在三十三歳なので十三年前 という計算になる。 ついこの前のような気分でいたのだが、 祖母はやはり以前より確実に 歳をとっていた。 祖母は高齢のため耳が遠く、 あまり会話らしい会話ができない。 ただ元気そうな笑顔の 祖母に会えて嬉しかった。 帰り際、 「おばあちゃん元気でね。 また会いに来るよ」 耳のそばで大きな声で言うと、 祖母は引き出しにしまってあった手紙をくれた。 その場で読むと、 「ヒサシブリニ、アイチャンノ カオヲミタラ、カワラナイネ」 と書いてあり、想像していた反応だったので安心した。 手紙をもらったのが嬉しくて、 帰りの飛行機の中で もう一度読み返す。 「ヒサシブリニ、アイチャンノ カオヲミタラ、ワカラナイネ」 わたしはとても複雑な気持ちになった。