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ミラー
車を降りて、城の扉が開いていて、そこを通ると、見慣れない場所・景色が目に入る。
遠くのど真ん中に祭壇のように、地面から少し立ち上がる。そこに辿り着くと、四周に階段が備わって四角のところに柱が聳えているが、屋根などがなく、露出のままだ。
しかし、祭壇に似ているとはいえ、その中で祭る様子がない。人がいなければ、供物を捧げる儀式を行う道具なども一切ない。そこにあるのは、たった真ん中に浅い一箇所の水溜まりのみ。
水溜まりに鮮明に映っているのは、夕焼け。見上げてみれば、鮮やかな紅色の夕焼けはどこまでにも続いて、果てがない。紅色が刹那にまんまとグレーとなって、鮮やかだった雲は空と一体化する。
ところが、周りにはヒトが生み出されてくる。夕焼けが変化したおかげなのか、それとも元々はいたけれども、僕には見えなかったのか、さっぱりわからない。ヒトたちの誰もが真っ白な服装を着て、下駄を履いたほかに、赤と白の紐のようなものを頭に結び付ける。
ちょうど傍らにヒトリの背中があったので、ちらりと覗いてみた。その結んだ紐の末は天上を指す。簡単に言えば、両端が向上するように、固定されている。黒い古代の銅貨の繋がった絵が裾に付着して、その少し上はさらに黒い松の樹木の絵が染めてある。
ヒトたちはまるで僕が見えないようで、各自の雑談に突っ込む。ヒトリの側に立ってみても、対面するヒトは気づかないというか、ちっとも見てこないのだ。手を振って、相手の目を覆っていても、雑談は止まらずに続いている。
ヒトたちがおかしい。いいえ、それとも僕がおかしいのか。
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