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布団は整えられて隅に置きっぱなしで、ご飯の食べかけの茶碗が座卓に置いてある。もっとも気になったのは、右手側にある棚だった。棚の上に一冊の本に挟まれた茶色の栞が垂れて、栞の末端が咲き誇る。連想してみれば、孔雀の尾のように、自らの力で周りへ引き伸ばそうとして美を示している。
しかしそれはただの縞織物にすぎない。孔雀のようにはなれない。平凡な栞は、所詮平凡なもの。孔雀には比べるものにもならない。
仮に珍しくて綺麗な孔雀が醜態を表したとしても、囲んで観賞する人々はそれが魅力的な美だとこじつける。だが、栞の自ら発散した美に対して人々はどうも理解せず、みっともなく、体裁が悪いと勝手に思い込む。
それぞれある時点で似たようなものごとの差異は定義の違いによって、大いに変わってきて理解されないのだ。
狂っているとバカにされるおじいさんに対して狂っている証拠も出せずにひたすらに狂っている、狂っていると口を広げて否定し続ける無知な連中だ。それら連中は綺麗に孔雀と名乗り、自分には理解できない願望を持つおじいさんをぼさぼさする末端のつく栞のように見下し続ける。
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