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「老死というのは?まさか、老死後に行くということですか?」
あらゆる可能性を考えて、一つに絞ったらやはり残りはこれしかないかなと思いながら、つい口にした。
「なぜわかったのじゃ?」
おじいさんは顔を横の僕に回す。
「すいません、今日お訪ねしましたが、留守でした。その間、寝室に勝手に入ったうえに、日記帳を気になってつい・・・」
許可も下されずに勝手に日記を見たのを謝ろうと思って頭を下げる。
「わい、うそをついてないじゃろう。」
僕の顔のどこかを見つめるおじいさんの目には何かを望んでいるようだ。
「はい!おじいさんを信じています。」
頷いてから微笑みを出す。
直後、母の叫び声が聞こえてくる。僕はお辞儀をして外へ飛び出した。登り道を上がっている途中にちょうど母に会った。
「どこ行ったのよ。またあの変なおじいさんのところ?」
「はい!けど、変なおじいさんじゃないよ、母さん。」
できるだけ解釈しようと思った。
「ばかなこと言うじゃないのよ。あんたも狂ってるの?ほら、夕飯だよ。もう戻ろう。」
やはり通じなかった。子どもの話なんか大人は聞かない。帰り道で、母はさんざんとおじいさんの悪口を言っていた。
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