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月は隙間から光を中へ注ぐが、全く足らず、石像の台座しか明かしてくれなくて、かなり暗い。
やがて扉は開かれる。松明を持ったみんなが入ってくる。
「おえ!小僧!死にてえのか!あ?」
「いいえ、それを見てください!」
僕は揺れる松明の光で前の石像が見えて、それを指す。
「えっ?これは・・・」
横を見てみれば、唖然としたその顔には不思議さが塗ってある。
そうだ。
石像は、シルクのような服装を着ている天女。
だが、それだけではなかった。
天女の右には、おじいさんが立っている。そのおじいさんは新たな石像となっている。微笑みながら、顔は天女へ向けていて、正面から見れば横顔しか見えないのだ。二人はしっかりと手を繋いでいる。
みんなは周りを探っていても、おじいさんの肉体が見つからない。
「みんな、ここを見てください!」
と僕はしゃがんで台座の刻み文字を指す。
それは「永遠」、という二文字で、日記帳に書かれたおじいさんの文字の書き方に良く似ている。
<終わり>
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