夢現つ

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 三角形の尖るところににょろにょろする白い雷のような線が集まる。数秒後、あの寝ている人へさっと射し込んでいく。いびきが止まってしまって、机に伏せた上半身もゆっくりと倒れてきて、床に落ちる。血などがなく、安らかに眠っているように見えた。が、突如、その人の身体が起きて、口から何かを吐き出した挙句、また倒れていってしまった。  その吐き出されたものは、血が滴って、()(えん)(けい)で真ん中には小さな穴の空いている。穴の周りは薄い膜のようだが、一番外側が厚い。どう思っても何かの器官に違いない。  その器官はやがて咲き誇る花のようになった周りへ広げた三角形の中に吸収されると、三角形が閉じて元の様子に戻る。  「ヒトツ。」  さらに三角形から、声が聞こえる。しかし、前と違ったのは、低くはない。どちらかというと、正常な男性の声だったが、その電波のような声は相変わらずにある。  周りを見てみてば、ドアを開けようとするストレートヘアの男性と隣のオールバックの男性、二人とも口を大きく開けて驚かされているようだ。ストレートヘアの男性の手は取っ手に止まっている。セミロングは両手で口を覆って、目はじっとその三角形を見張っている。角刈りの男性も、それに注目して、唾を飲み込んでいて動いたのどぼとけが見える。可愛らしいショートカットの女性は、それを見てすぐに顔を横に向けた。  脱出しなければと思っても、具体的にどうすべきなのか。それでも本当に、他の人に声を出させるという方法しかないのか。
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