石を追いかける

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 「ママ!大人たちが変なの。」  とさっきの女の子がお母さんの裾を引っ張って喋り始める。しかし、そのお母さんは女の子の話を無視して一方的にきらめく石へ見続ける。  「パパはまだ来ないかな。探しにいこ〜」  とさらにお母さんの裾を引っ張ったとしても、無視されていた。  一方、屋根に登った人が現れた。ニットを着ている男性だった。ニット男が手をその石に届けようとするとき、また下の人に脚を引っ張られてどうにもならない。極大変な状態となって、止むを得ずにもう一本の足でその引っ張る手を蹴りながら「放せ」と叫び出す。  その石には手が届かない状態は数分ほど続いた。引っ張る手を蹴り続けてやっと手放しされた。ニット男は石を握った途端、すぐに「あっつ!」と顔を歪めて手を離した。  石は意志を持っているようで、急に上空し、おもちゃ屋へ飛び始める。ドアを通って中に入ってしまう。そのせいで群れの人がまた動き始める。目標は無論、おもちゃ屋。私もついさっきが前の人だった人に推されておもちゃ屋に押し込まれる。
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