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それから挑んでくる人が増えつつあるが、誰もが石を握ることはおろか、一秒ほど手のひらに止めることもできなかった。失敗した人は、群れの人を抜けて姿を消し去る。私もようやく前に進むことができた。
「あなた、やってみないか?」
おばあちゃんは私に話しかけてくる。
「いいえ、私はやりません。」
頭を振りながら言ったが、おばあちゃんの手のひらにある石は急に光って飛んでくる。私の目の前に漂う。何気なく手を出してみたら、止まってくれた。先ほど試した人たちの「痛い」という気持ちがわからず、どちらかというと、暖かい。
「俺も別に強いてないから、さあ、こっちに飛んできな。」
と横にいる男性が口の両側を上げながら、手を出した。しかし、石が飛んでいかないし、嘲笑いを招いてきた。
「実は欲しいやろな。」
どこからの声が届いた。
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