ベネチアの変人

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 「ねえ、ぼうや。それじゃ全く意味ないわよ。」  叩かれた少年は一旦お仕事をやめ、見返る。三十代ほどの女性の顔を目に止めた。  「どうして?」  少年は頭を横へ曲げて、女性を見つめていた。  「どうしてって、ほら、通路と川の水位は同じでしょ。」  女性は通路を指したあと、川をも指した。  「これじゃ、だめですか?」  少年は女性に向いて水桶で水を川に注ぐ動きをして見せた。  「うん。そうよ。」  「でも、それはどうして?」  困惑した顔をする少年が再び理由を聞いた。
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