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 幾つなのって聞き方が有るかと隆は不満になりつつ、「あの、三十です」 「へー、三十なの。もっと若いかと思ったのに」 「ああ、そうですか。若く見えますか?」 「いえ、そうじゃなくて平と聞いて当然、二十代だと思っちゃったのよ」  先程、出し抜けにタメ口になった事やこの刺々しい嫌味な言い種に、「あ、ああ・・・」と隆は絶句し、この女も現金な族の一人だったか、矢張り脈が無いと完全に失望した。  そんな彼の虚ろな目を奈美はしっかり見た儘、先程から表情に示しつつあった嘲弄の色を濃くして行きながら続けざまに皮肉った。「でも、それなら会社でも気楽だし、今は独身貴族としてそれなりに楽しんでる訳ね。」
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