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「いえ、もう帰ろうかなって思っていたところなんです」 「あっ、そうなんですか。じゃあ、帰ってから用事でも有るんですか?」 「いえ、別に有りませんけど」  隆は願ったり適ったりとときめいて、「でしたら、どうです。今から、あの、お話だけでもしませんか?」  勿論、彼は場当たり的に言っているのであって何を話そうという具体的な考えは無かった。 「えっ、お話?」 「ええ、ですから、あの、良かったら喫茶店にでも行って少しお付き合いを願いたいと・・・」 「えーと、どうしようかしら・・・」 「ここは一つ試しにどうですか?」 「んー」 「ちょっとだけで良いんですよ」 「そうですねえ・・・」 「どうですか?」 「んー」 「どうですか?」と隆は垂涎の的となった女にこの後も必死に食い下がった。 「んー」と女は然も迷っている態度を維持していたが、彼の色白の顔が蒼褪めて来ると、悦に入って、「分かりました。それ程、おっしゃるなら」
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