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それでも通うのはやめられなかった。
自嘲する。あんなにかっこいいんだ。モテるんだろうことは分かってた。
僕は幹ちゃんと同じ男なんだから、幹ちゃんがフリーであったところで何だと言う話だ。でも思うだけならいいんじゃないか?誰にも迷惑は掛からないし。そうだそうだと頭の中の僕たちが賛同する。
だったら堂々と邪な思いを抱えたまま、コーヒー、マスター、幹ちゃんの3点セットを感受しよう!
あの良い香りとマスターの笑顔と声に癒され、幹ちゃんを愛でながら美味しいコーヒーを堪能しようと決意する。
今日は有給休暇、さりとて、どこにも行く当てもなく、午後にはやっぱり喫茶店に足が向く。
ドアを見ると「本日休業」の札。お休み以外で急に店が閉まっていたことがないので珍しい。
何となく覗いてみると幹ちゃんが盛大に泣いていた。
わわわ、これは見てはいけないと踵を返した。
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