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せっちゃんの婚家はそこそこの資産家で玉の輿だと聞いていた。でもせっちゃんからは凡そそんな気配がしない。
手も荒れて指先もささくれが目立ち爪も筋が入っていた。
何より痩せていた。
「立ち入ってごめんね、せっちゃん、ちゃんと食べてる?」
せっちゃんは恥ずかしそうに俯き、栄養が足らず筋の出た爪が乗った指先を隠した。
これ以上はみっちゃんの手前聞けないと思っているとみっちゃんが、
「お母さん、私にご飯くれるから食べてないの、お兄ちゃん、お母さんに何か食べさせてあげて」
泣き声もあげず、ポロポロと涙だけ流してたった7つの子が願う。
頷いた僕はすぐに立ち上がり、焦る気持ちを宥めながら丁寧に卵サンドを作り、せっちゃんとみっちゃんに出した。
「あきらくん、ありがとう」
せっちゃんとみっちゃん母娘は頂きますと手を合わせてゆっくりと食べ始めた。
みっちゃんが眠ってしまうと、せっちゃんがポツポツと話し始めた。
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