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俺は冷や汗を撒き散らしながら、玄関に転がり込んだ。息を切らしながら靴箱に飛び付いた。靴箱の扉を開けた。
「急げや急げ」
独り言しながら、上履きに右手を伸ばした。違和感。手に触れたのは上履きではなく、封筒に入った一通の手紙だった。
【山崎良平へ】敬称略でおまけに毛筆で宛名を書かれた封筒には、差出人の名前はない。
「何だ何だ。果たし状か」
俺は遅刻寸前だったのも忘れ、封を切って中身を取り出した。便箋を広げた。やはり毛筆によって記された個性的な書体の文字によって、便箋は真っ黒く埋め尽くされていた。
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