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「どうだ、解けそうか?」
「もう解けた」
私は顔を上げ、ドレイクを見据えた。
「教えてやるから、鍵を渡せ」
「ふざけるな、答えが先だ」
私は涙をためた目でこちらを見つめるメアリに目を走らせた。できればすぐに助けてやりたかったが仕方ない。
「わかった。こいつをよく見てみろ」
銀のなめくじをドレイクに放る。
「裏に刻まれている記号があるだろう。ː/ ː / とある。これをsilverslug銀のなめくじの綴りに合わせるんだ。ːは長母音で伸ばす音、/は単語の切れ目だ。そうすると、silverslug シルバー スラッグ は、siː/lːver /slug。 シー ルーバー スラッグ で see louver slug となる。louverは鎧戸、slug は『なめくじ』ではなく『強く打つ』の方の意味だ。文としての意味は『見ろ 鎧戸 強く打つ』になる。館の書斎の間の窓は鎧戸になっている。それを強く打つと、隠し場所が現れるということだ。
「な、なるほど」
ドレイクは私の説明に納得したようだ。
「まあ、そんなことだと思っていたぜ」
銀のなめくじをポケットに収め、代わりに銀色のものを取り出した。鍵だ。
「では、俺たちは密書を取りに行こう。そうなると、お前をここに足止めしないといけないな」
ドレイクは鍵を握って、振りかぶった。
「おい、やめろ」
「fore」
奴は叫びながら鍵を投げた。鍵は銀の流星となって飛んでいき、十数メートル先の茂みの中に落ちた。
「じゃあな、無事に鍵が見つかることを祈っているぜ」
ドレイク一味は足早に立ち去って行った。
「カーティス様、どうか早く」
涙目のメアリに哀願され、私は鍵が落ちたとおぼしき茂みに向かって駆け出した。
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