ベナンダンティの片想い

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雪菜姉ちゃんは俺より3歳年上で、兄貴と同い年だった。 小さい頃から同い年の俺の兄貴とはケンカばかりしていたが、俺のことは実の弟のようにかわいがってくれた。 お盆とお正月には祖母の家に親戚みんなが集まる。そんな時はいつもお姉ちゃんは俺の好きなおもちゃやマンガ、俺が中学生になっても、洒落た曲のCDや話題の映画のBlu-rayを贈ってくれた。 小さい頃から一緒に遊んだ、テーマパークやスケート、ボウリングにハイキング。 楽しい思い出はみんな、雪菜お姉ちゃんに繋がっていると言ってもよかった。 そのお姉ちゃんが、兄貴のアラタと婚約した時は正直、狐につままれたような思いだった。 何かの冗談だろ?だってあんなに仲悪かったのにって……。 だけど、2人の仲の良さを知らなかったのは家族の中で俺だけだった。 「雪菜ちゃんがあんたの本当のお姉さんになるのよ。うれしいでしよ?」 あの日のおふくろの得意げな顔と、妙に興奮した甲高い声が今もハッキリと頭にこびりついている。 最初は何を言われたのか、わからなかった。
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