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発情期が来ない、それは子供どころか番も出来ない、そう告げられた、
その言葉は俺の心を殺すには充分な言葉だった
「待ってください!どういうことですか⁈だって俺はΩですよ!Ωなら男でも妊娠できるはずじゃ!」
「残念ですが…番を作れたとしても子供まではどうにも…」
「そんなっ…」
じゃあ和葉はどうなるんだ?他のお嬢様と番になるのか?ダメだそんなことがあったら壊れてしまう
まぁ、でもそんなことがあったのも
もう5年も前だしさ。
流石に現実を受け止めたよ
俺はこいつと番になれない、子供を産めないってこと
「雲雀っ!」
ビクッ
「どうしたの?今日ずっと上の空だよ?」
「いや、なんでもない俺は合コンパス、てかお前大丈夫なの?今日どこぞのお偉いさんの娘と見合いなんじゃなかったっけ?」
「え〜〜だってめんどくさいんだもん!勝手に俺の人生決めないでほしいっていうか〜」
何言ってんだこいつは
俺の決心を台無しにするきかっ!!!
とは言えない
「…っまぁわかったよ、適当にごまかしといてやるよ。次はちゃんとしろよ!」
こう言ったのも何回目だろうか
「っっ!ありがとう!愛してるぜ!それでこそ俺の幼馴染だ!」
パァッと明るくなったその表情に思わず口元が緩んでしまう
おっと、期待しちゃダメだ
「なにぃ!またか!くそっあのバカ息子がっ!」
和葉の親父さんが顔を真っ赤にして怒り出す
怖え〜まさに地震雷火事親父だな…ははっ
「すいません、なんか用事ができたみたいで〜」
「第1雲雀君もなんとか言ってくれ!今回のお相手さんは大事な取引先のお嬢さんなんだぞ!」
そう言った親父さんに写真を見せられる
ああ…綺麗な人だな
やはりあいつの婚約者はこういった人なんだろう
俺にはない、柔らかい髪も、淡麗な顔も、華奢な手足も、大きな胸も、可愛らしい性格も、何一つ俺にはない
それにΩのくせに番も出来ない
「もういっそ雲雀君が嫁に来てくれんかね?確かΩだったろう?雲雀君みたいなしっかりとした子だったら私たちも安心なんだけどなぁ」
「いえ、俺なんか…」
俺なんかあいつにふさわしくない
期待に添えなくてごめんなさい
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