2,シティーチェイス

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 入りくんだ狭い路地を、二人は駆け抜けて行く。旧市街は不法に住み着いた人々が建物を勝手に改築や増築を行ったため、ところ狭しと建物が並び、まるで迷路のような街並みと化している。そのため、地図でも無い限り、慣れてない者は必ず迷う。おかげで二人は今だ追っ手とは遭遇していなかった。が、幸運も長くは続かない。とある角を曲がろうと僅かに顔を覗かした瞬間、銃弾の雨に襲われた。 「おおっとぉ!」 芳賀はすぐに顔を引っ込め、弾を避ける。マンションから飛び降りる直前に持ってきた刀に手をかけ、数秒待機。銃声が止んだのを確認すると、角の陰から躍り出て一気に敵へ迫る。 「な、お前ッ?!」 「遅せェよ。」 突然出てきた芳賀に敵が驚愕した隙を突き、通り抜けざまに抜刀。一太刀で二人を無力化する。 「すごっ・・・」 少し遅れて追いついた坂上は、その見事な太刀捌きに感嘆の声をあげた。 「呑気にしてる場合か。行くぞ。」 「わ、わかってるわよ!」 再び走り出す芳賀を追い、坂上も走る。その後も何度か敵に遭遇するも、芳賀が刀振るって切り伏せ、突き刺し、時には坂上が拳銃で援護し 、全て沈黙させていった。こうして走ること約十分。二人はひときわ狭い路地に差し掛かった。 「ここを抜ければ奴らを撒ける。一気に行くぞ!」 「了解!」 直後、二人の前に追っ手が立ち塞がった。手にはサブマシンガンH&K MP5を構え、銃口をこちらへ向けている。このまま行けば、確実に蜂の巣にされる。しかも、この道幅は二人が並ぶのがやっとのくらい狭く、芳賀は刀を満足に振ることができない。敵に対処するのは不可能だった。 (もう駄目か!) 坂上は死を覚悟した。そんな彼女に、前を走る芳賀は顔だけ振り向き、笑みを浮かべた。 「任せろ。」 「バカ、無謀よ!」 坂上が止めるも芳賀は無視。すぐに前に向き直ると、なんと左の壁に跳躍。さらに壁面を蹴り、体を横に倒すように飛ぶ。呆気にとられた敵は、すぐさま芳賀に銃口を向けようとするも間に合わない。上空に刀を抜くスペースを作り出した芳賀は、横に回転するように体をひねり抜刀。勢いそのまま、銃ごと敵を両断した。
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