てるてるBOY

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「あはは」 お腹を抱えると高笑いし始めた。 私達の側を通る人は、少し異様なその光景を目の当たりにすると、敬遠するようにして小走りで去って行った。 「実に高校生らしい陳腐なものばかりだ。いや、ごめん。まぁ、その程度なら誰でも一つや二つは有しているもんだと思うけど…そうか、そうだよね」 何がおかしいのか笑いを堪えきれそうにない様子の先輩に、ついに萌音がぶちキレた。 「何がおかしいんですか?」 「いや、いや別に」 「大体、そんなに笑うなら、さぞかし先輩はご立派な経歴お持ちなんですよね?」 「そうですよ、先輩」 私も我慢ならなくなって問い詰めると、彼は待ってましたとばかりに、ニヤリと口元を引き上げ、目つきを光らせた。 「あー。まぁそんなに知りたいなら是非教えて差し上げるよ」 先輩はそこで一息つくために1度目を閉じた。 そして、何か呪文でも呟くかのように、見事な経歴の数々を披露し始めた。 「まず気象予報士。バイオ技術者検定、初級、中級、上級。数学検定1級、英検一級、日本サイエンスアート協会正会員で国際数学オリンピック日本代表にて銀賞。そして、今年度文部科学省認定『科学の未来を担う100人の学生』に選定される。そう、誰もが未来のノーベル賞候補者と期待したくなるスーパー高校生とは、まさに僕のことさ」
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