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「やっぱりね」
萌音は諦め口調で溜息交じりに返した。
「だってね…ほんと奇妙なてるてる坊主だったの」
「うん。何度も聞いたし」
「あの時受験生だったから、しばらく忘れてたけどさ、その2年の先輩曰くてるてる坊主の着ぐるみ知ってるって話なんだってば」
「うん…」
萌音はやはり乗り気じゃ無さそうだった。
「お願い!一人で行くの勇気出なくてさ」
私は念押すように、両手を合わせて彼女にペコっと頭を下げた。
「全く…仕方ないなぁ。入るかはまだ考えさせてよ」
「それは勿論」
萌音はこうして、渋々ではあったが私のために折れてくれた。
私達が、体育館の後部座席でそんなやりとりをしている間に、白熱した体育会系の部活紹介は終了し、会場の熱気も一気に冷めていた。
次に文化系の紹介に移ろうとした時だった。
私は思わず目を疑った。
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