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「あの人ヤバくない?」
「まぁね…」
やっぱり萌音は乗り気とは言えない様子だった。
「でも、ハイパーサイエンスって何やってるかは気にはなるね」
「でしょ?」
私はニヤリと笑うと、仕方無さそうに萌音はうなづいた。
放課後
『てるてるCO.』が実はまだ部活としては、学校側に正式に認められているわけでは無かったことが判明した。
そのため、今は同好会一覧にあるだけで、部室の用意はないが、化学準備室に行けばいいと担任から聞き出した。
そして、今私達は2階の化学準備室前に居た。
特に貼り紙もなく、ドアをノックすると中から、どうぞと返事が聞こえた。
「いらっしゃい」
そう言って、奥のデスクから腰を上げ、此方へと向かって来たのは、白衣を纏いセクシーなVネックの黒いニットワンピを来た黒髪ロングの美女だった。
「あの、此方にてるてるCO.の部室があると聞いたんですが…」
私が恐る恐る尋ねると、彼女はちょっと待っててと、奥のデスクへと戻って行った。
そして、戻って来た彼女は私達にアンケートの束を手渡した。
「入部希望なんだよね?」
「いや、まだ見学に…」
そう言い終わるまでもなく、彼女はこう言った。
「ようこそ、てるてるCO.へ。この学校の化学教師してる手嶋瑠奈(テシマルナ)よ。海斗なら、駅前に行けば会えると思うから、それ渡しといて」
「海斗って、あの部長さんですか?」
私が尋ねると、瑠奈は小さく首を縦に振った。
「あの子は私の甥なの。部屋がないから備品置き場として準備室使わせてあげてるだけ。詳しくは彼から聞いてちょうだい。私は自分の仕事で忙しいのよ。子供のお遊びに付き合ってる暇はないの」
瑠奈は若干甘ったるい口調で、二人を追い払うように手を払うと再びデスクへと腰を下ろした。
私と萌音はアンケートを手に化学準備室を出るしかなかった。
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