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「あの、何してるんですか?」
私が尋ねると、彼はちょっと警戒心を抱きながらも、手元に戻って来た小型のドローンを右手にそっと私達へと差し出した。
「これは?」
私が、まじまじと見つめて尋ねると、彼は答えた。
「ドローン型の雨雲探知機だよ。こいつが雨雲を探知すると、スマホにダウンロードしたアプリにデータが送信される。
そして、そのデータを元に、アプリが何分後に雨雲が自分の頭上にやってくるかを計算してくれる」
彼はさらりと説明してくれた。
間違いない。
彼がそうだ。
「君達はひょっとして入部希望者?」
あの熱弁を振るった本人とは思えない程に、彼の口ぶりは冷静だった。
「希望というか…化学準備室に行ったらこれ届けて欲しいって頼まれたんです」
私より先に萌音が答えた。そして、さっき頼まれた紙袋に入ったアンケートを差し出した。
「全く人使いの荒い女だな」
彼は呆れた様子で、差し出された紙袋を受け取った。
「あの、ハイパーサイエンス部って仰ってましたが、一体なんなんですか?それから、このドローン、部にも認定されてないのに予算ついてませんよね?どうやって開発してるんですか?」
萌音が先輩に対して、ここぞと詰め寄って質問攻めし始めた。
確かに、気になるけど、そんな剣幕で詰めよらなくてもと私が思っていると、先輩が答えてくれた。
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