植物図鑑

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「美波、おばあちゃんの四十九日来れるわよね?」 仕事が終わって家に帰り着くと、まるでそれを待っていたようにLINEの無料通話が鳴り出した。 母だった。 「今度の土曜日でしょ。行くよ。一泊泊めて。日曜日に帰る」 帰りにスーパーで買ってきた食材を冷蔵庫にしまいながら スピーカーにしたスマホに向かって喋る。 「了解。形見分けってほどじゃないけど、おばあちゃんの持ち物を片付けたから。土曜日に渡すからね。」 「私はいいのに。」 「でも亡くなる前に、美波にあげてって言われてる本があるから。もらうのも供養だよ。」 「本?」 祖母が本を読んでいたような記憶は、さっぱりないけど、そんな私の心を読んだように母が言った。 「おばあちゃんぽくないよね。植物図鑑なんて。」 ますます意外。 祖母は本にも植物にも無縁だった気がするけど。 「じゃあ、土曜日待ってるからね。」 一方的に言って 通話終了。
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